事業管理者・院長ごあいさつ
事業管理者 あいさつ
当院は島根県東部の中山間地域である雲南地域の中核病院として、開設以来70余年にわたり地域とともに歩んで参りました。
雲南地域は、少子高齢化、人口減少はもちろんのこと、全国でも最下位に近いレベルの医師不足に陥っており、加えて医師の高齢化、後継者不在の問題も顕在化しはじめています。そのような中で良質な医療を提供するのは極めて困難な状況にありますが、一筋の光も見えてきております。
地域住民をはじめ、様々な方面からの力強いご支援のお蔭で、一時悪化していた経営状態も改善の方向に変わりました。その結果、平成30年度には機能性に富んだ新病院を竣工、さらに31年度は附属診療所を構えるに至り、急性期から慢性期まで幅広い病院での対応に加え、在宅医療に特化したすべく新設した「地域ケア科」の活動にも拍車がかかり、地域包括ケアの実践に求められる環境が整いつつあります。
また、「人のやさしさ、温かさ」が自慢である当雲南地域をフィールドとした医学教育プログラムも充実しており、地域医療の舞台で活躍できる人材育成事業は当院の主観事業の一つですが、その結果「医療の力で地域を支える」という同じ志を持った医療職も徐々に集ってきています。
地域医療を取り巻く環境は厳しいものがありますが、当院はこれからも自治体病院の使命である「住民の生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献すること」を、西院長以下職員一同が常に念頭に置きながら地域への貢献を果たして参ります。
病院事業管理者 大谷 順
院長あいさつ
松井事業管理者のご勇退に伴い、本年4月1日から、新院長に就任致しました。大谷新事業管理者と協力しながら、この雲南市立病院の健全な運営に、邁進してまいります。宜しくお願いいたします。
さて院長就任に際し、今後の雲南市立病院の運営に関して、私なりの考えを、“3つの安心・安全”というテーマで述べてみたいと思います。
1. ハード面での安心・安全
本年9月に新病院がグランドオープン致します。これにより、当病院の新病院建設計画が完成いたします。患者さまの療養環境および病院スタッフの診療環境が、前病院に較べ、格段に改善されます。また昨年3月に先行オープンした新棟は、最先端の免震構造であり、大規模災害にも十分対応できる建物となっています。災害時には、被災者の避難場所となり、病院機能を持った災害拠点となります。この新病院のハード面の充実が、医療、災害対策において、雲南市および周辺の地域住民の方々の安心・安全な生活に貢献できると確信しております。この新病院の補修、改善、さらなる機能充実に努めてまいります。
2.ソフト面での安心・安全
地域の病院は、どこも同様に慢性化した医師不足に悩まされています。我が雲南市立病院も例外ではなく、患者数に対する医師数は、まだまだ足りません。また当院の医師は、一次、二次救急の急性期医療だけでなく、回復期、慢性期の医療にも従事しています。さらに診療所が少ない地域ですので、かかりつけ医の役割も求められています。当院の患者ニーズから考えて、高度に専門化した医師よりは、まずは総合診療科というべき診療を担ってくれる医師を、確保することが必要と考えています。現在同科で活躍中の先生方を出来る限りサポートし、彼らの後輩医師を育成していくシステムが必要です。そのためには長い道のりとなりますが、島根大学医学部の地域医療実習、各基幹病院研修医の地域実習に協力して、当院が必要とする医師を育てることが必要です。また少ない医師数でも、効率的に診療できるように、専門看護師等の医療スタッフを育成し、医業分担を進めて行くことも重要です。地域住民の方々に、安心・安全な医療を提供する上で、当院の医師を始め医療スタッフを充実させていくことも、私の責務と考えています。
3.経営面での安心・安全
よく言われるように健全な経営なくして、良質な医療提供は出来ません。また健全な経営なくしては、病院職員も安心して働くことが出来ません。地域住民の方々に、安心・安全な医療を提供する上で、病院の健全経営は必須です。松井前事業管理者をはじめ多くの方々のご尽力で、雲南市立病院は経営危機を脱して、現在健全経営と言える状態となっています。しかし今回の新病院建設で大きな負債を背負っております。今後この負債が、経営を圧迫してくることは必然です。当然ですが、支出を極力抑え、収入をアップしていくことが重要です。そのためには病院全職員の理解と協力、努力が必要です。現在の経営方針を踏襲しながら、新たな施策を講じながら、必ずやこの難局を克服致します。大谷新事業管理者、経営のプロである原田新事業副管理者と協力しながら健全経営に努力してまいります。
以上、今後の病院運営に関して、私見を述べさせてもらいました。言うまでもないことですが、今後の病院運営には、これをご覧の皆様の、ご理解とご協力が不可欠です。
今後ともご指導、ご鞭撻の程、宜しくお願いいたします。
院長 西 英明